お念佛で大丈夫!!

 間もなく震災から1年。復興支援、防災や原発問題等の話も尽きませんが、佛教、お念佛に関してお檀家さんから頂いた声をいくつか紹介させて頂きます。

「自分もいつどうなるか分からない。無常を実感しました。」

 こうした声は多くの方から聞かれました。お釈迦さまが説かれた「諸行無常」と頭で分かっていても、あまりにも無慈悲な自然の猛威。圧倒的な現実を前に、誰もがこの世の儚さを痛感させられました。

70代男性からこんな声も、

「この世に神も佛もいないのか…。」

 今月2月15日は涅槃会です。悲しいかな約2500年前にお釈迦様が涅槃へ入られて(無勝荘厳(むしょうしょうごん)浄土というお釈迦様の国にお帰りになられた)から、実に56億7千万年後に弥勒菩薩がお出ましになるまでの間、この娑婆世界に佛様は不在です。
 しかしご安心ください。天災や、いつ何時おとずれるか知れぬ生老病死の苦から逃れられない私たちのために、お釈迦様が残して下さった教えがあります。お釈迦様は「お念佛さえ唱えれば阿弥陀様が救って下さるのですよ」と教えて下さる佛様なのです。

 阿弥陀様は、自力で迷い苦しみの世を抜け出すこと出来ず、次の世はまた地獄、餓鬼、畜生へと逆戻りという私たちを憐れみ下さり、「南無阿弥陀佛」と我が名を呼ぶもの必ず極楽浄土へ救いとる、とお約束下さっています。
 お念佛申す私たちを、決してお見捨てにならない阿弥陀様。儚く悲しみ尽きぬこの世もお見守り頂きながら心強く生き抜き、次の世は極楽浄土へ生まれさせて頂けるのです。

また多くの方から、

「今まで当たり前に思っていたことが、有り難く感じるようになった。」

 日々の暮らしもそうですが、人として命ある有り難さ。そして無常の世を生きる私ですが、お念佛の教えに出会え、極楽浄土へお救い頂ける有り難さを、皆さま改めて感じてお念佛を申しておられます。

80代女性より、

「ボランティアに行けないし、心ばかりの支援しか出来ない私だけれど、震災で亡くなられた方々に朝夕、お念佛を称えさせていただいております。」

 これからも私たちに出来る「この世の復興支援」は精一杯させて頂きながら、亡くなられた方々を、苦しみのない安楽の極楽浄土へお救い頂くために、ひたすらに阿弥陀様のお力をたのみ、心よりお念佛をご回向させて頂きたいと思います。極楽へと救い取るのは阿弥陀様にしか出来ないことであり、そのために唱えるお念佛は、私たちに出来ることなのです。

40代女性(亡くなった家族にもう会えないと泣くお子さんをテレビで見て)から、

「家族や友達を亡くされた人に、お念佛を教えてあげたい。阿弥陀様の極楽浄土でまた必ず会えるんだよと伝えてほしい!」

 この世での別れは決して永遠の別れではありません。亡き人のため、自らの往生のためにお念佛申せば、必ず極楽浄土で再会出来るのです。極楽浄土での大切な方との再会あればこそ悲しみから立ち上がる力となりましょう。
 「お念佛の教えを伝えてほしい」これは我々、僧侶への切なる訴えでありました。
 青年僧の私も、お釈迦様が説かれたお念佛のみ教えを、生涯お伝えしていきたく存じます。

 最後に私の友人30代の男性(今までは私がお念佛の話をしても、ほとんど聞く耳持たない方でしたが)から、

「最近、雑誌や本で佛教に関するもの読んでるよ。でも無常を受け入れたり、心を静めようっていう教えは、そりゃ出来たら良いんだろうけど…。あの地獄のような光景を見たら、そんな気持ちでなんかいられないよな…。俺だったら怒り狂い。泣き叫び…。
 ただ、亡くなった方が安らかな世界に行けるように…。自分も救いを求めるしかないと思った…。それがかなうのはお念佛だけだよね…。」


 こうした方々や私自身の共通の思いは、
 「やっぱりお念佛。阿弥陀様の力だから…お念佛で大丈夫!!」

南無阿弥陀佛

2012年02月15日
長野教区浄土宗青年会 浄玄寺 原賢順