自信教人信

未来を見つめ 今を生きる

 自信教人信(じしんきょうにんしん)
 難中転更難(なんちゅうてんきょうなん)
 大悲伝普化(だいひでんぶけ)
 真成報佛恩(しんじょうほうぶっとん)

 これは、「自信偈(じしんげ)」と呼ばれ、法然上人がお師匠様、とひとえに仰ぎ慕われた、中国唐代の僧侶、善導大師(613~681)のお言葉に由来します。
 その意は、まず私がお念佛のみ教えを信じて、正しく受け止め(自信)、一人でも多くの方々へ、そのみ教えをお伝えし、お念佛信仰を持って頂く(教人信)。非常に難しい事ではあるけれど、み佛の大慈悲のみ心を伝え弘めることこそ、み佛様の尊いご恩へ真実に報いることである。
 自信偈に説かれたことに基づき、私たち浄土宗青年会僧侶は日々研鑽を重ねています。

 さて、皆さんが思い描く未来は何でしょうか?もし希望に満ちた将来が、すべての人に保証されているならばどんなに素晴らしいことでしょう。
 しかし、日々のニュースなどを見るにつけ、現実の厳しさを突きつけられることが少なくありません。天災や事件事故、戦争といった災いが絶えず、そのような環境に囲まれて、苦しみや迷いに翻弄されながら生きている私たちではないでしょうか。そして必ず最後は、「死」を一人一人が迎えていくのです。

 「未来をみつめ」とは、後の世の極楽浄土のことです。限りあるこの世の苦しみには、自分の力だけでは抗うことはできません。思い通りにならないから苦しみなのです。しかし「南無阿弥陀佛」と阿弥陀佛の御名を称えれば、後の世に必ず阿弥陀佛が極楽浄土に導いて下さるのです。
 法然上人は「ただひたすらに、南無阿弥陀佛と、阿弥陀佛の御名を称えなさい」とお念佛のみ教えをどなたにも分け隔てなくお勧め下さいました。なぜなら、私たちを必ず救うと誓われ、極楽浄土から常に私たちを見護ってくださる阿弥陀佛におすがりすることが、私たちが苦しみや悩みの中で、「今を生きる」この上ない支えとなるからなのです。

 私たちは希望があるからこそ、今日を生き抜いていけるのではないでしょうか。数ある希望の中で、決して揺らがないものは、阿弥陀佛のお救いに他なりません。
 南無阿弥陀佛と称える限り、阿弥陀佛は私たちを切に慈しみ、温かな御手を常に差し出して包んで下さっているのです。